あなたは占いを信じますか?
多くの人が「占いは単なる娯楽」と一笑に付す現代において、実は心理学の巨人が真剣に向き合っていた事実を知ったら、どう思いますか?
しかし待ってください、もし占星術が単なるお遊びなら、なぜカール・ユングのような偉大な心理学者が生涯をかけて研究したのでしょうか。
心理占星術家の鏡リュウジ氏は、まさにこの矛盾に着目した人物だ。
「ユングはオカルト的な神秘現象を『無意識』という概念で結びつけて考えた」
鏡氏はこう断言する。
無意識こそが、占星術の真の価値を見出す鍵だと力説するのだ。
驚くべきことに、ユングは霊媒や錬金術、占星術に積極的に関わり、研究を重げていた。
「形のない神々と無意識は同じもの」
この発想の転換が、すべてを変えた。
鏡氏は熱く語る。
「ユングの心理学は、占星術の現代版と言えるんです」
当然ながら、周囲の反応は冷ややかだった。
占い好きと公言すれば、軽蔑の眼差しを向けられるのは必定だ。
しかし鏡氏はユングという「盾」を得て、態度を一変させる。
「親にも言い訳ができるようになりました」
この屈折した心理こそ、現代の占いブームの本質を鋭く突いている。
なんと鏡氏のデビューは中学3年生という早熟ぶりだ。
占い雑誌『ミュー』の投稿コーナーにせっせと応募しているうちに、編集者から直接スカウトがかかる。
「東京に出てきませんか?」
この電話一本が人生を変えた。
しかし当時の鏡氏はまだ中学生、高校進学を条件にデビューを延期するという大人びた判断を見せる。
編集部も驚愕したというこのエピソードは、まさに才能の爆発的開花を物語っている。
「少女漫画家のデビューみたいでしたね」
鏡氏は当時を振り返って笑うが、これは単なる偶然ではない。
才能と情熱が交差した必然の出来事だったのだ。
その後、国際基督教大学への進学を機に本格的に占星術の道へ。
しかし鏡氏の真骨頂は、ここからだ。
大学の語学留学プログラムを利用して、なんと魔術の本場・イギリスへ渡航するのである。
「オカルト専門店でイベントを探し、公衆電話から参加申し込み」
当時はスマホもない時代、地図も不確かな中での行動力には圧倒される。
イギリスでは現役魔女との交流も深め、実際に魔女の儀式を体験するまでになる。
「クリスティーナさんとの出会いも飛び込みでした」
この度胸こそ、真の探究者たる所以だろう。
しかし最大の転機は、ジェフリー・コーネリアス博士夫妻との出会いだ。
「君はクリティカルじゃない」
博士の厳しい言葉は、鏡氏にとって衝撃だった。
お世辞ではなく、批判的思考を持つよう求められたのである。
「僕の本を読んで批評してみなさい」
この要求に、たどたどしい英語で応えた経験が、鏡氏を真の専門家へと成長させた。
現在も続くこの師弟関係は、単なる知識の伝承ではない。
占星術という分野そのものを深化させる、真の学問的交流なのである。
鏡氏が英国占星術協会の会員として認められた背景には、こうした本場での研鑽があった。
あなたはまだ占いを娯楽だと思いますか?
それとも、無意識という深層心理に迫る手段だと認めますか?
この問いこそが、200年ぶりのパラダイムシフトへの第一歩なのだ。
詳細
鏡リュウジ氏のイギリス留学は、単なる知識の習得を超えた真の変容の旅となりました。現地で出会った魔女クリスティーナさんとの交流は、書物では得られない生きた知恵をもたらします。彼女の導きで参加した魔女の儀式は、月の満ち欠けと自然のリズムを重視する実践的なもので、占星術が単なる星の解読ではなく、生命の循環そのものと深く結びついていることを体感させるものでした。この経験が、後の鏡氏の「占星術は生き方そのもの」という哲学の基盤となっていきます。
しかし真の学問的転機は、ロンドン大学で人類学と占星術史を研究するジェフリー・コーネリアス博士との出会いでした。博士は鏡氏の熱意ある語りを聞きながら、きっぱりと指摘します。「君の考えはまだクリティカル(批判的)ではない」。この言葉は、それまで直感と経験を重視してきた鏡氏に大きな衝撃を与えました。博士が求めたのは、単なる占星術の技術習得ではなく、歴史的・文化的文脈の中で占星術を相対化し、批判的に考察する能力だったのです。
「私の著書を読んで、その内容を批評してみなさい」という博士の課題に、鏡氏は英語力の不安と格闘しながら真摯に取り組みます。このプロセスを通して、占星術が古代バビロニアに起源を持ち、ギリシャ哲学を経て中世ヨーロッパで発展し、近代科学の台頭で一度衰退し、20世紀に心理学との融合で新たな命を吹き込まれた歴史的経緯を理解していきます。特に17世紀の科学革命で占星術が「非合理的」として排斥された歴史は、現代における占いの位置づけを考える上で重要な示唆を与えてくれます。
鏡氏はこの学びを通して、占星術を単なる「当たる・当たらない」の次元で語ることの限界に気づきます。むしろ、星の配置は私たちの無意識に働きかける「物語の枠組み」として機能し、自己理解を深めるツールとなり得ることを確信するに至ります。この気づきは、ユングが提唱した「シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)」の概念と見事に符合するものでした。
英国占星術協会での活動を通じて、鏡氏は学問的厳密さと実践的価値のバランスを取る重要性を学びます。協会では、占星術の伝統を尊重しつつも、現代の心理学や統計学の知見を取り入れた実証的な研究が進められていました。この環境が、鏡氏のその後の著作や講義において、難解な概念を平易に解説しながらも学問的深度を保つという独自のスタイルを形成する土壌となったのです。
現在に至るまで続くコーネリアス博士との師弟関係は、単なる知識の伝承を超えた、互いを高め合う創造的対話の関係へと発展しています。博士から学んだ批判的思考法は、鏡氏が日本に帰国後、独自の「心理占星術」を確立する上で不可欠な要素となりました。それは占星術を盲信するのでも否定するのでもなく、その文化的・心理的意義を冷静に考察する態度です。
こうした海外での研鑽を経て、鏡氏は占星術を「星占い」の枠組みから解放し、人間の無意識と対話するための包括的なシステムとして再構築することに成功します。その核心にあるのは、占星術の図表(ホロスコープ)を単なる未来予測の道具ではなく、自己の内的世界を映し出す「鏡」として活用する視点の転換でした。このパラダイムシフトが、現代における占星術の新たな可能性を開く礎となっているのです。

まとめ
鏡リュウジ氏は帰国後、日本で独自の心理占星術の世界を切り開いていきます。留学経験で培った批判的思考と豊富な実践的知識を融合させ、占星術を単なる運勢判断から自己探求のツールへと昇華させることに成功しました。氏の著作や講義では、難解な占星術の概念を誰にでも理解できる平易な言葉で解説しながらも、学問的な深みを損なわないバランスの良さが特徴です。特にホロスコープを「人生の設計図」と表現し、星の配置を個人の潜在的可能性や成長課題として読み解く手法は、多くの人々に新鮮な驚きをもたらしました。このアプローチの核心にあるのは、ユング心理学で重視される「個性化のプロセス」、つまり自分らしさを実現していく成長の旅という考え方です。
鏡氏の活動領域は多岐にわたり、書籍の執筆や雑誌連載に加え、大学での特別講義や企業向けセミナーまで幅広く展開されています。どの場面でも一貫して伝えているのは、占星術を依存の道具ではなく、自己理解を深めるための「鏡」として活用する重要性です。例えば、苦手と思っていた性格的特徴が、実は成長のための貴重な資源であることに気づかせるなど、占星術を通した気づきが実際の人生変容につながるケースが数多く報告されています。この実践的な効果が、従来の占いとは一線を画する鏡氏の手法の真骨頂と言えるでしょう。
現代社会における占いの位置づけについて、鏡氏は「科学とスピリチュアリティの架け橋」という独自の視点を提示しています。高度に発達した科学技術社会においても、人間の心には理性だけでは満たせない領域が確かに存在するという指摘は深く考えさせられます。占星術が提供する物語性や象徴的な解釈は、数値やデータでは表現できない人間の内面世界にアクセスする有効な手段となり得るのです。ただし、氏は常に「占いの結果が絶対ではない」ことを強調し、個人の自由意志と責任を尊重する姿勢を貫いています。
鏡リュウジ氏のライフワークは、占星術をオカルト的なイメージから解放し、現代人が自己理解と成長を深めるための実用的な心理学として再構築することにあります。その活動は単なる占い師の域を超え、文化批評の領域にまで及んでいるのが特筆すべき点です。氏の提唱する心理占星術は、古代の知恵と現代の心理学を見事に融合させた独自の体系として、今後さらに発展していくことが期待されます。私たちが星の配置に意味を見いだすとき、実は無意識の深層と対話しているのかもしれないという視点は、占いに対する認識を根本から変える可能性を秘めているのです。


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