インドが世界第5位の経済大国に躍進したことは、大変喜ばしいニュースです。しかし、その背景には深刻な格差問題が隠されています。一見華やかな数字の陰に潜む課題に目を向けることが重要です。本記事では、インド経済の光と影について詳しく見ていきましょう。
目覚ましい経済成長を遂げるインド。IMFの発表によると、2022年にはついに世界第5位の経済大国の座を手に入れたのです。しかし、その光の部分の背景には、暗い影が隠れていることをご存知でしょうか。
インドは人口14億人を抱える巨大国家ですが、その経済の実態は決して一様ではありません。2021年には上位10%の人口が全体の収入の50%を独占している一方で、下位50%の人々は収入のわずか13%しか得ていないのが現状なのです。一人当たりの所得を見ても、先進国のイギリスが4万3000ドルなのに対し、インドはわずか2200ドルと大きな開きがあります。人間開発指数でもイギリスが13位なのに対し、インドは131位と大きな差が開いています。

驚愕の格差!5位のインド経済、豊かさと貧困の2つの顔
インド経済のランキング上昇に隠された真実とは?
インドの経済成長は、一見すると驚くべき躍進を遂げているように見えます。IMFの最新データによると、インドは世界経済のランキングでイギリスを抜き、アメリカ、中国、日本、ドイツに次ぐ第5位の経済大国となりました。10年前には世界第11位だった経済規模が、3.5兆ドルを超える勢いは一見圧巻です。しかし、この輝かしい数字の背後には、深刻な経済格差が潜んでいるのです。14億人の人口を抱えるインドでは、上位10%の富裕層が国の収入の実に50%を独占し、下位50%の人々はわずか13%の収入しか得られていません。一人当たりの所得は平均2,200ドルにとどまり、世界の中でも低い水準にあることは、この経済成長の虚実を如実に物語っています。
経済発展の陰に隠れる社会問題の深刻さ
インドの労働市場は、さらに複雑な課題を抱えています。労働力参加率は40%程度と低く、10億人の労働力のうち、6億人が実質的に安定した職を持っていないか、その日暮らしの自営業に従事しているのが現状です。コロナ禍の影響はさらに深刻で、失業率は8.2%に達し、新卒者の失業率は実に20%を超えています。人間開発指数においても、インドは189カ国中131位と、経済発展の恩恵が広く国民に行き渡っていないことを示しています。対照的に、Gautam Adaniのような億万長者の存在は、経済の極端な二極化を象徴しています。彼の資産は1,362億米ドルに達し、1日で160億ルピーも増加するという驚異的な富の集中が起こっているのです。
真の豊かさを目指すインドの挑戦
世界第5位の経済大国という栄光の称号は、インド国民にとってほとんど実感のないものです。月収2万5千ルピー(約4万円)が高収入とされる現状は、経済的繁栄が一部のエリート層に限定されていることを如実に物語っています。この矛盾を解消するためには、単なる経済成長だけでなく、所得格差の是正、教育と雇用の機会均等、持続可能な社会システムの構築が不可欠です。インドの真の発展は、数字上の成長ではなく、すべての国民が恩恵を受けられる包括的な経済成長にかかっています。豊かさの本質は、GDP の数字ではなく、国民一人一人の生活の質と機会の平等にあるのです。インドは今、この難題に正面から向き合う岐路に立っているのです。
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