ヒンズー教の蛇神ラフー – 人間の内なる闇と欲望の化身

占い

迷いの蛇王ラフー – 黒と青のつくりものから呼応する宇宙の調和
ヒンズー教の占星術には9つの惑星「ナヴァグラハ」が存在します。その一つがラフーです。ラフーは月の北側にあるとされる「月の節」で、本来の姿はありません。しかし、この影のような存在こそが、人間の欲望や執着、恐怖を司る存在なのです。

ラフーは逆行する不規則な動きを持ち、12星座を約18年で巡ります。この不安定さが人間の内なる闇を映し出し、そこから生まれる様々な感情を司ります。野心、幻想、虚妄、強迫観念など、人間の心の奥底にある負の感情がラフーの領域なのです。このような人間の弱さを象徴する存在だからこそ、ラフーは特別な扱いを受けているのです。

ラフーの神格は女性神格のドゥルガー。そして、彼の象徴は黒と青の色、そして蛇です。蛇はラフーの本来の姿であり、そこにはタクシャカやアーディ・シェーシャといった蛇王たちの姿が描かれています。これらの蛇神たちはかつてシヴァ神に祈りを捧げ、シヴァ神から祝福を受けたと言われています。まさにラフーは、人間の欲望と恐怖が渦巻く蛇のように、それでいて神性を宿した存在なのです。

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インド神話に登場するラフの魅力
インド神話の中で重要な役割を果たすのが、ラフです。ラフは月の北側の黒い系統の木星と見なされる存在で、ヒンズー教の9大惑星のうちの1つです。ラフには非常に強大な力があり、人々に大きな影響を与えます。ラフは常に逆行し、12星座を18年かけて周回します。ラフには神秘的な側面がありながら、人間の内面的な欲望や恐怖、執着、幻想といった深層心理にも関わる存在として描かれています。

ラフと密接に結びつく神々と祭祀
ラフを守護するのはドゥルガー女神で、ラフ崇拝には土曜日が縁起がよいとされます。供物にはココナッツと黒豆が用いられ、ラフの象徴色は黒と青です。宝石はゴメダーガム(ヘソナイト)が縁起のよいとされます。ラフは頭部のみで体と手足がない姿で描かれることが多く、時に四本腕を持ち剣や槍、盾を持ち、祝福の手を伸ばす姿で表現されます。ラフはまた、黒い獅子に乗る姿でも知られています。ラフは蛇の神としても信仰を集めており、呪文「ラフ・カーワチャム」が唱えられています。

ラフの神話的起源と影響
ラフの起源はアムリタ(不死の霊薬)を巡る神話に遡ります。神々と魔神が激しく戦った末、ヴィシュヌ神がモヒニー姿になって両者に分配しようとしたところ、アスラ王子のスワルバーヌが神々に紛れ込みました。しかしモヒニーに見破られ、頭部を切り落とされます。スワルバーヌの頭部がラフ、体がケートゥとなったのがラフの起源とされています。

ラフの位置によって、富や権力、外交力といった恵みを授かったり、詐欺や困難に遭遇したりと、大きな影響を与えます。また、病気や法的紛争、囚われの身にもなりやすいといわれています。ラフの神殿も各地に存在し、その中でも特に重要なのがタミル・ナードゥ州のティルナーゲースワラム寺院です。この寺院では、ラフに加えて蛇の関連も強く信仰されています。

神話に登場する神々や聖地が、インド文化の深層に息づいているのがラフの特徴です。人間の内面や、運命に大きな影響を及ぼすなど、ラフは古代インドの宇宙観や人生観を代表する重要な存在といえるのではないでしょうか。

ヒンドゥー占星術の神秘的な世界において、ラーフは最も興味深い天体の一つとして知られています。物理的には存在しない架空の天体でありながら、人間の運命に深い影響を与える存在として古くから畏敬されてきました。ラーフは18年かけて黄道12星座を巡る特異な軌道を持ち、個人の無意識や欲望、隠れた感情と密接に結びついています。この影の惑星は、人間の内なる葛藤や未解決の感情を象徴する存在として、古代インドの叡智の中で重要な意味を持っています。人々の運命を司る神秘的な力として、ラーフは単なる天文学的概念を超えた深遠な精神世界を映し出す鏡のような存在なのです。その影響力は個人の無意識の欲望、恐れ、執着、幻想にまで及び、人生の深層心理を照らし出す不可思議な天体として崇められています。

ラーフの神話的起源は、インド神話における壮大な海のかき混ぜ(サムドラ・マンタン)の物語に遡ります。不死の霊薬アムリタを巡る神々と悪魔の壮大な戦いの中で、悪魔のスワールバーヌは姿を変えて神々の列に紛れ込みました。しかし、ヴィシュヌ神が化身したモヒニーによって、その詐称は暴かれ、頭と胴体に切り裂かれることになります。興味深いことに、アムリタを既に飲んでいたため、その頭と胴体は不死となり、頭はラーフ、胴体はケートゥと呼ばれるようになりました。この神話は、奇跡と変容の象徴として、ラーフの本質的な性質を物語っているのです。占星術的な観点からは、ラーフは権力、富、政治的成功、そして外交的才能をもたらす可能性がある一方で、同時に欺瞞や障害のリスクも秘めています。

ラーフへの信仰と崇拝は、タミルナードゥ州の特定の寺院で特に盛んです。特にティルナゲーシュワラム寺院は、ラーフを祀る最も重要な聖地の一つとして知られています。土曜日はラーフを崇拝するのに最適な日とされ、黒いココナッツや黒豆が捧げ物として捧げられます。シヴァ神を主deity(主神)とするこの寺院は、蛇の王アディシェーシャが深い瞑想の末にシヴァ神の祝福を受けた場所として伝説的な意味を持っています。ラーフ・カヴァチャムと呼ばれる聖なる詩の朗誦は、繁栄、名声、健康、そして精神的な洞察をもたらすと信じられています。現代においても、この古代の叡智は人々の心に深く根ざし、内なる成長と自己理解への道を照らし続けているのです。この神秘的な天体は、単なる占星術的な概念を超えて、人間の精神性と運命の深遠な謎を探求する鍵となっているのです。

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