南インド・ケララでの滞在を終え、次の目的地はタミル・ナードゥ州の州都チェンナイ。ここでは、この旅の最大の目的地でもある「アガスティアの葉」を探すために、「アガスティアの館」を訪れます。この探索のために、期待と不安が交錯する特別な体験が待っていました。
チェンナイへの国内線移動
2018年8月23日、ケララでの朝を迎えた私は、友人の香苗さんの家で朝食をいただきながら、旅のスケジュールを確認していました。香苗さんとの別れを惜しみつつ、この日の夕方には国内線でチェンナイへと向かう予定です。飛行機のフライト時間は約1時間半。ケララのコーチン空港からチェンナイ空港へ、インドの国内線は比較的短い移動時間でありながらも、初めて訪れるチェンナイへの期待感に胸が高鳴ります。
午前中は香苗さんとともに、コーチン市内を観光しました。ヒンドゥー教の伝統的なシヴァ寺院を訪れた後、地元の南インド料理を楽しみながら、香苗さんとの交流を深めました。時間が来ると、香苗さんに見送られながらコーチン空港へ。少し名残惜しい気持ちを胸に抱きつつ、チェンナイへのフライトに乗り込みました。
チェンナイに到着したのは夜の20時頃。飛行機の窓から見たチェンナイ市街の夜景は、美しい光の海のようで、新しい街への期待が膨らみます。この夜はチェンナイ市内のホテルに宿泊し、翌朝に備えました。
アガスティアの館の訪問とナディ・リーダーとの対話
翌朝、私たちは早朝5時30分にホテルを出発しました。「アガスティアの館」までは車で2時間以上かかるため、まだ暗い街並みを抜けながら田園風景の広がる道を進みます。この移動中、通訳ガイドの高橋さんと合流しました。高橋さんはチェンナイ出身で、日本に滞在経験もある信頼できるガイドです。彼は「アガスティアの葉」について事前に詳しく調べており、これから訪れる館が最も信頼性が高い場所だと教えてくれました。
午前中に目的地である「アガスティアの館」に到着しました。外観は通りに面した比較的小さな建物ですが、中に入ると奥行きのある空間が広がり、1階には複数の小部屋、2階には広い部屋がいくつか設けられています。ここで「ナディ・リーダー」と呼ばれる人々が「アガスティアの葉」の検索を行います。
私たちは予約をしていたこともあり、すぐに2階のインタビュー・ルームに通されました。エアコンが効いた快適な部屋で、ゆったりとした椅子が用意されています。しばらくすると、ナディ・リーダーが現れ、いよいよ「アガスティアの葉」を探すためのプロセスが始まりました。
質問と葉の検索プロセス
ナディ・リーダーはまず、「葉」を検索するための基本的な質問を行います。通訳の高橋さんを介して、私は「イエス」か「ノー」で答える形式で対話を進めます。
「あなたは火曜日に生まれましたか?」
「いいえ」
「あなたには弟がいますか?」
「いいえ」
「あなたは今30歳ですか?」
「いいえ」
こうした質問が次々に投げかけられ、その都度リーダーは手元の「葉」をめくっていきます。古代タミル語で書かれた文字や記号が描かれた「葉」に目を凝らしながら、私はどのように自分に関する情報が記されているのか興味津々でした。
質問は淡々と進みますが、途中で私に関する具体的な質問が出てくると、その精度に驚きました。
「あなたのお父さんの名前は○○ですか?」
「はい」
「お父さんは公的機関に関わる仕事をしていますか?」
「はい」
これにより、いよいよ私の「アガスティアの葉」が見つかったかと思いました。しかしその後、「お父さんは既に他界されていますか?」という質問に「いいえ」と答えると、再び別の「葉」に移ります。見つかるまでに半日以上かかることもあると聞いていたため、覚悟を決めて作業を見守りました。
信頼を揺るがす出来事
この探索の過程で、思いもよらないトラブルが発生しました。詳細についてはここでは控えますが、目の前の「葉」に対する信頼感を大きく揺るがすものでした。このため、最終的に見つかった「葉」についても、これが本当に自分のものであるという確信が持てない状況に陥りました。同席していた相方と高橋さんも同じ疑念を抱き、室内には微妙な空気が漂いました。
ナディ・リーダーはその後も淡々と「葉」に記された内容を語りますが、私たちの心中は複雑なまま。この日の探索を終え、「アガスティアの館」を後にしました。
次への期待と思索
チェンナイでの一日は、疑問と不確かさを抱えながらも終了しました。「アガスティアの葉」は本当に私の運命を語るものだったのか。その答えを見つけるには、さらに多くの時間と試みが必要だと感じました。
この経験を経て、私は「アガスティアの葉」に対する理解を深めるため、次のステップを考えています。次回は別の場所で「葉」を探す計画を立て、旅を通じて得られる教訓とともに、新たな旅立ちへの準備を始めることにしました。
この日を振り返ると、「アガスティアの葉」の探索は単なるスピリチュアルな体験ではなく、自分自身を見つめ直す機会でもあったのかもしれません。チェンナイの街並みや人々との交流、そして「葉」を巡る一連の出来事は、私にとって忘れがたい旅の一部となりました。
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